「背の眼」道尾秀介
📕本書との出会い
訳のわからないタイトルですみません。
本書は第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した本書は道尾秀介さんのデビュー作です。
そして「背の眼」は僕の心霊観の基礎を作ってくれました。
ブログを始めて2か月が経ちますが、ついに紹介できたなという感じです(^_-)-☆
読書好きの皆様にも共感できる話かもしれませんが、この作家さんの小説はついつい買ってしまうなんてことありませんか?
僕の場合は伊坂幸太郎さんと道尾秀介さんの小説です。
道尾秀介作品は気持ち悪い作品も多いですが(急な悪口すみません)、このシリーズは大好きになりました。
📘あらすじ
福島県白峠村を訪れた作家の道尾秀介(作中で筆者が本人役で登場しています)が主人公です。
村ではここ数年、児童の神隠し事件が起こっているというので見に来ました。
河原を散策していると、妙な声が聞こえてきます。
その地は神隠し事件で、最初にいなくなった少年の切断された頭部だけが流れ着いた場所でした。
この声は少年の霊の声なのか、気味の悪くなった道尾は、予定を切り上げて東京へ帰ります。
そして霊現象探求家の友人・真備庄介(まきびしょうすけ)に相談を持ちかけます。
同じ頃、真備は白峠村とその隣町・愛染町で起こる自殺急増事件に関する相談を受けていました。
自殺した者にはある共通点がありました。
それは自殺する数日前の被写体の背中には人間の眼が映り込んでいるというものでした。
相談者はその人は自殺する理由は何もなかった、その眼が自殺を引き起こしたのではないかといいます。
なぜ眼が写ったのか、なぜ眼が写った人は自殺してしまうのか。
道尾と真備は真相を追うことになります。
📗見どころ
僕が感銘を受けたポイントは2つです。
真備は霊現象を研究していますが、霊現象をことごとく否定していきます。
これはドラマ「トリック」にも似ていますね。
信じていないかのようで信じている。
いや、霊を信じたいのには悲しい理由がありました。
霊などいないという人が多いですが、完全に否定したいのならば真備や大槻教授のように研究しなければなりません。
この霊を否定したいのだがどこかで霊を信じたい、信じているスタンスはとてもかっこよく思うのです。
もうひとつのポイントは背の眼の存在です。
背中に眼が写った人は死にます。
しかし、それは霊のせいなのでしょうか?
すべての霊は悪者なのでしょうか?
何か不幸なことがあるとそれを何かのせいにしてしまいがちです。
ですが、もし死の原因が背の眼ではないとするとそれは冤罪です。
謝らないといけません。
そのことまで考えられている本書は上質なホラーであることに加え、謎解きをちゃんとやるところは上質なミステリーでもありました。
シリーズは3作出ていて、ドラマ化もしています。
「トリック」が好きな人は楽しめるのではないでしょうか。
📙最後に
別に批判ではないのですが、超常現象否定派の大槻教授は最近テレビに出てもあんまり否定しませんね。
丸くなったとか多様性を認めるようになったとか言われたらその通りなのですが、なんか寂しく思ってしまいます。
子どものころは過激に否定する大槻教授にぷりぷりしていましたけど。
もっと大槻教授に時間を与えて、否定するための実験をしてほしいとも思うのです。
↓文庫は上下巻あります。大ボリュームで背の眼と対峙するのだ
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