「浜村渚の計算ノート」青柳碧人
📕本書との出会い
本屋さんにとっては迷惑でしょうけど、僕は本屋さんに一時間程入り浸り、鬼のような形相で買う文庫を選ぶことがあります。
一時期、本を買い過ぎて家計を圧迫した事があるので慎重になってしまうのです。
読書好きあるあるですかね(;^_^A
本の選び方としてあとがきや解説から読む事があります。
解説には時にネタバレがありますが、面白い本はネタバレしてもなお面白いというのが持論です。
本書も解説の立ち読みから出会いました。
解説が魅力的過ぎてこのあとの購入とシリーズの収集につながりました。
📘あらすじ
「数学の地位向上のため国民全員を人質とする」。天才数学者・高木源一郎が始めたテロ活動。彼の作った有名教育ソフトで学んだ日本人は予備催眠を受けており、命令次第で殺人の加害者にも被害者にもなりうるのだ。テロに対抗し警視庁が探し出したのは一人の女子中学生だった!新時代数学ミステリー!!
まずは背表紙からあらすじの紹介です。
シリーズの犯人組織は数学の大切さを世に知らしめたいテロリストです。
第1巻では4つの章で数学テロリストたちと浜村渚が戦います。
章の題名にlog10などと数学用語を使うなどユーモアにあふれた仕掛けが満載のシリーズです。
📗見どころ
本書は解説に書かれたエピソードががとても魅力的でした。
以下は刑事同士の会話です。
「0個のリンゴを4人で分けたら、一人分は何個だ?」
「……0個?」
「そうだ。0÷4=0だ。それじゃあ、4個のリンゴを0人で分けたら、一人分は?」
「0個」
「ちがう。今度は、リンゴはあるけど人はいないっていう話だ。『分ける』という行為自体、成り立たない。」
この会話がある話では犯人がゼロをモチーフとした杖で毒ガスの入った容器を割ろうとします。
そこに主人公の浜村渚が犯人に呼びかけます。
「0で割っちゃ、ダメです」さらに「これは、私たち人類が悪魔と交わした、数学史上最も重要な約束の一つです」と続けます。
犯人は浜村渚の説得に応じ、手を止めます。
この説得にユーモアとリアリティを感じたのです。
犯人が数学に精通しているだけあって数学は絶対です。
浜村渚の数学に対して誠実な様子と犯人たちの数学への絶対の想いが伝わってくるシーンでした。
📙最後に
僕は数学は好きでしたが、苦手科目でした。
中学生の時−2×−2はプラスの4になるというのが納得できず(−2+−2で−4になるのではないかと思ったのです)、先生に質問したことがありました。
先生の答えは「そういう公式だから。まずは公式を覚えなさい。」というものでした。
それ以来数学のことで考えるのはやめにしました。
学校で教えることはあまり面白くないなって感じてしまったのです。
統計学や心理学など自分が興味を持てる範囲の数学にしか興味がなくなってしまいました(;^_^A
今になって思います。
その時に浜村渚に出会っていればと。
数学にもっと興味を持てたのではないかと。
ちなみに上の疑問には(マイナスかけるマイナスでプラスになるのはなぜ?には)金八先生がドラマの中で完璧に解説していました。
時速100㎞の車は2時間後には200㎞先にいるよ。じゃあバックで時速100㎞の車の3時間前だと300㎞、前方にいるよねって。
(時速100㎞×2時間=200㎞の位置にいる、時速-100㎞×-3時間=300㎞の位置にいる)
実際のドラマでの説明と違いましたらすみません(;^_^A
調べても動画で残っていないので、ありましたらご教授ください。
本書は筆者がすべての数学好きとすべてのそうでもない人あてに書いたとのことです。
筆者が楽しみながら、生き生きと書いているのがこんなにも伝わってくる小説は珍しいです。
数学狂の世界を味わえる一冊です。
シリーズ化していますが、まずは第1巻をどうぞヾ(≧▽≦)ノ
↓アニメ化もしています。小説もアニメも要チェックやヾ(≧▽≦)ノ
コメント