超能力者たちの物語「私は存在が空気」中田永一

小説

「私は存在が空気」中田永一


📕本書との出会い

特殊能力っていいですよね。

そんなことを常日頃、時には数時間考えてしまう僕ですが、本書でついに欲しい能力を見つけました!

本書は6編からなる短編集ですが、どの話にも不思議な能力や不思議なアイテムがでてきます。

それらは特に詳しい説明がなされていません。

何もないところに熱を起こす能力、存在感を完全に消して周りの人に認識されない能力、量子トンネルを起こしてしまう能力と様々ありましたが、能力者たちはきっとこういうでしょう。

「そういう体質なの」って。能力のそういう扱い方は僕は大好きです。

とても論理的だなぁとも思います。

さてそんな本書からは3つの話について書いてみようと思います。


📘「ジャンパー」

主人公はとても醜い顔を持っていて、学校ではいじめられ、妹からはいつもキモいと言われてしまう、引きこもりの男の子です。

ある日、顔を見せろとからかう親戚たちから逃れるため家の2階から飛び降りることで自分の能力に気づきます。

能力は本文から紹介すると、「ドラクエのルーラ」です。他の言葉だと孫悟空の瞬間移動でしょうか。

具体的には両足が地面から離れているときに行ったことのあるところにいける、です。

そんな彼はある日、趣味である美少女が誘惑してくる系のラノベを買おうと街に出ます。

彼は3次元の女には相手にされないので、2次元の女を愛します。(なんだか僕に似ていますね💦)

予定だった本を買い、帰ろうとすると踏み切りの間で転んでしまった少女がいました。

少女に迫りくる電車から能力を使い助けることができましたが、彼が持つ能力はバレます。

その後、少女は彼の先輩だったこともあり、彼はアッシー君になります(彼女を背負い、学校まで飛んだり、東京観光や彼氏の所まで飛んだりします)。

もうお分かりでしょうが、彼は人使いの荒い先輩に恋をします。

それはとても痛みのある恋でした。でも、彼を成長させる恋でした。

とても共感できる一文は、

パソコンで美少女ゲームをプレイして、プログラム上の女の子と交際した。

だれがどう見てもこれは立派な遠距離恋愛だった。

です。

僕も乃木坂46にどハマりして、深川麻衣さんと橋本奈々未さんに恋をしていました。

どちらかを選ぶことはできず、大変な日々でした。

彼女たちはビームを放つことができるメンバーです。僕はビームに弱いのです。

今の乃木坂はというと………、この辺にしておきましょう。

今回のテーマが乃木トークだったらあと2000字は書けるところでした。

まぁ、彼とはそんな共通点もあり、最後まで応援できました。

前を向いた彼ならば、また彼女のように心の眼で彼のことを見てくれる人に出会えることでしょう。

それにしても中田永一さんはいわゆる陰キャを描くのが上手すぎますね。

どの話も激しく感情を揺さぶられます。


📗「スモールライト・アドベンチャー」

突然家にスモールライトが届き、少年はそれを自分と母親に使ってしまいます。

少年はせっかく小さくなったのだから気になるあの子のスカートの中を覗きに行こうと旅に出ます。

(その気持ち、分かるぞ少年👍)

少年は気になるあの子の誘拐現場に立ち会ってしまい、事件に巻き込まれわちゃわちゃします。

その間、母親は小さくなっても夕飯づくりをやめないのが面白かったです。


📙「サイキック人生」

これぞ僕の求めていた能力でした。

主人公である、女子高生の一家はみな透明な腕を持ちます。

それは数メートル伸び、他人に触れることはできるし(触れたときの感触は本体にも伝わる)、他人からは触れることができないというものです。

もし僕が透明な腕を使えるならウフフなことやぐふふなことに使うでしょう。

しかし、彼女は透明な腕を使い心霊現象を起こしクラスメートをびびらせます。

(なんて邪道な使い方なんだ😠)

不良との戦いや娘さんを失った彼の母を励ますなどありましたが、彼女は能力とそれを使って得たものに感謝できたようです。

こちらは透明な腕を持つ同士の親娘ゲンカが面白かったです。

最後に、誤解させてしまっては申し訳ないので一応書いておきます。


僕が透明な腕を持つとして、ウフフなこととは本を読みながらズレたメガネを直すことで、ぐふふなこととは冷蔵庫まで行かずともコーラを飲めるということです(^^)


表紙もいいですね。
作画は浅野いにおさんです。
浅野いにおさんの代表作である「ソラニン」はとても感動的でした。

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