「横浜ではまだキスをしない」樋口有介
📕本書との出会い
僕は一時期横浜に住んでいました。
横浜はとても良いところでした。中華街は食のテーマパークで、みなとみらいには遊園地があります。
動物園や水族館も豊富です🐢
専門学校へ通うための一人暮らしでしたが、ときどき横浜国立大学に繰り出しては学食だけ食べて帰るなどの無茶もしていました。
横浜国立大学近くのマクドナルドはドリンクバーがあるので、よくそこに小説を持ち込み数時間過ごすこともありました。
とてもいい思い出です。
📘あらすじ
そんなことも思い出せる、本書のタイトルにはとても惹かれました。
「横浜ではまだキスをしない」、ならばどこでキスをするのかとても気になったのです。
素敵な恋愛の物語なのだろうと思うのも束の間で、本書はミステリーでした。
ひとことで言おうとすると詰め込みすぎのミステリーといったところでしょうか。
物語の本筋は父親の盗撮容疑を晴らしたい高校生、なのですが、付随するものが多くてわちゃわちゃしたミステリーになりました。
樋口有介さんの作風はしっかりとしたミステリーであることに加えてトリッキーなことをしてくる作家という印象にあります。
📗見どころ
しっかりしてるミステリーと横浜の美しい景色は保証しますので、今回は事件のことは置いといてトリッキーの部分を中心に紹介したいと思います。
まず、父親の盗撮魔の容疑を晴らしたいというのが面白いですが、父は官能小説家です。
疑われそうな職業だと、僕もつい思ってしまいました。
さて本書の主人公である少年探偵のアキオに相棒は必要ですね。
1人目の相棒は隠し子の姉です。彼女は美人の警察官でもあります。
父の冤罪を晴らしたいという彼女の言葉は本当なのか、謎がありそうです。
ある日突然に姉ができるアキオの気持ちは複雑ですよね。
2人目の相棒は幼なじみのメイです。ネジがぶっ飛んだ優等生です。
彼女との会話はとてもハラハラして面白いです。素直にアキオを口説いてくるあたりはとても好感が持てますけど、好きになる子かどうかは別です。
本書には別の事件として屋敷の幽霊騒動があります。
その幽霊は猫に乗り移りミケと呼ばれ、アキオと生活を共にします。
猫の股を広げ、性別を確認するのは人間ならばやってしまいますが、「そーゆーことはやめておくれ」と言う猫はミケだけでしょうね。
喋る猫との豊かな生活は日常をモフモフさせます(=^・^=)
アキオとメイは屋敷の幽霊の無念も晴らそうとします。
📙最後に
基本的にこの3人と1匹でわちゃわちゃしながら謎を解いていきます。
謎が解けてからキスをするとかしないとかです。
1番印象的なシーンはアキオがミケの正体をメイに紹介するシーンでした。
メイは何を思ったのかミケを拳骨で殴ります。彼女いわく、
《祖父から聞いたことがあるの。テレビが映らなくなったとき、叩いてやると直ることがあるって》
まぁしゃべる猫を信じろって言うのも無理がありますが、急に殴ったらいけませんね(;^_^A
あと、今どきの子だと叩いたらテレビが直ると言われても何のことか分からないかもしれませんね。
僕は昭和生まれです。
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