エレベーターで出会ったやばいやつ「悪夢のエレベーター」木下半太

小説

 「悪夢のエレベーター」木下半太 

 📕作者について  

木下半太さんは脚本家兼俳優です。

小説家としても成功するのですから凄いです。

本書は2009年に映画化も果たしているみたいですね。

僕はどうやら脚本家の方が書く小説が好きみたいで、とても楽しめました。

というのも僕は小説に一番大事なのはリアリティだと思っています。

脚本家の方は実際に人を動かして(人を動かしているかのように)伝えているのですからリアリティ抜群の本書は感動的でした。

📘あらすじ

小川順が目覚めると故障して停止したエレベーターの中でした。

ドアは故障しているの開きません。小川の他には男が2人に女が1人で計4人です。

小川が気を失っていたのはエレベーターが急降下した衝撃で頭を打ったからだと他の3人は言います。

気がつくと携帯がありません。時計もありません。それは他の3人も同様でした。

非常ボタンを押し続けても応答がありません。閉じ込められて、なおかつ外部と連絡できない状況です。

小川は浮気相手の部屋から出てきたばかりなのに大ピンチです。

しかも、他の3人には犯罪歴があることまで発覚しました。

精神的に追い詰められた密室で、ついに事件が起こってしまいます。

📗見どころ 

密室のエレベーターで起こる事件というだけでもとても怖いですが(女性の方は特に怖いのかな)、物語は二転三転します。

基本的には常に密室です。エレベーター内での会話はときに愉快でときにスリリングです。

小川は浮気相手の部屋から出てきたばかりですが、妻の出産に立ち会うために急いでいます。

安井は刑務所帰りの目つきの怪しい男です。

牧原は他人の過去がわかる超能力者です。

カオルは自殺願望があるゴスロリ少女です。

愉快な4人ですね。この4人がわちゃわちゃするだけで楽しそうです。

本書は全三章でできています。

一章では小川が語り手です。

小川はツッコミ役みたいな感じです。

エレベーター内を俯瞰で見て、全体の概要を掴む章です。

二章では牧原が語り手です。

同じ出来事での繰り返しでも視点を変えると少し違う事件になります。

三章は安井が語り手です。物語はさらに加速します。

そして、エピローグはもう、驚きです。

悪夢シリーズは10作出ているみたいです。

セリフが多くてスピード感は抜群です。

脳内では簡単に映像化できるので、あっさりと楽しいものを読みたい人におすすめです!

📙最後に(雑談)

木下半太さんは深夜ドラマの脚本も書いていましたね。

「クレイジーレイン」というタイトルだったと思います。

雨の中の密室で刑事が4人犯人の見張り番をしていると、何気ない会話から同僚たちのやばさが明らかになっていきます。

薬中で借金まみれのやつ、上司の娘に手を出したやつ、過去に犯人を殺した際に快感を覚えたやつ、コロナ対策が万全のすぎる風紀委員。

4人の中で風紀委員だけまともに見えるようにしていましたが、実はこいつが一番やばいやつというのが木下半太クオリティーです。

どこかでこのドラマの再放送なんかに出会ったならば注目した方がいいですよ。

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