「イシューからはじめよ」を読んで仕事の悩みが半分になった話

「イシューからはじめよ」安宅和人
副題:知的生産の「シンプルな本質」


📕本書との出会い

頑張っているのに評価されない…
社会人として5年目のある日、僕はふとした瞬間に“空っぽ”のような感覚に襲われました。
毎日遅くまで残業して、メールを返し、資料を作り、会議にも出て、やるべきことはやっているはずなのに──成果が出ない。
評価もされない。
それどころか、上司からは「結局、何が言いたいの?」と首をかしげられる始末です。

当時の僕にとって、それはかなりショックな一言でした。
正直、「これ以上どうすればいいんだ」と思っていた時期です。

そんなタイミングで偶然手に取ったのが、安宅和人さんの著書『イシューからはじめよ』でした。
本のタイトルには「知的生産の“本質”をつかむ」というサブタイトルがあり、ピンときたんです。

「もしかしたら、自分が向き合っている“課題”そのものが間違っているのかもしれない」と。

読み始めてすぐに気づきがありました。
実は“どうでもいいこと”に時間を使っていたことに気づいたのです。
刺さったの言葉は「犬の道に入り込んではいけない」でした。

つまり、「とにかく頑張って調べる」「膨大な情報を集める」といった労働量ではなく、
“本当に向き合うべき課題=イシュー”を見極めてから動けというのがこの本の核心です。

自分の仕事を振り返ってみると、確かに「誰の役に立つか分からない資料作成」や「形だけの報告メール」など、
“やってる感”にすがっていた部分が多かったことに気づきました。

特に資料づくりは顕著で、グラフを飾り立てることに時間をかけ、肝心の「何を伝えるか」が曖昧になっていたんです。
これでは評価されないのは当然でした。


📘見どころ①イシューとは

イシューをはっきりさせないまま作業に没頭するのは、例えるなら「地図を持たずに走り回っている状態」です。
どれだけ汗をかいても、目的地にはたどり着けません。

本当に解くべき問題とはなんなのか?
では、「イシューを特定する」って、具体的にどうやるのか?

本書では、イシューとは以下のように定義されています。

①本質的であること(重要な意思決定に直結する)
②自分が答えを出せること(解く意味がある)

これを読んで、僕は上司との打ち合わせの前に“何を聞きたいのか”を徹底的に洗い出すようにしました。
たとえば、今までの僕なら「新商品の提案資料を作って」と言われたら、とりあえず仕様や競合の情報を詰め込みまくっていました。
でも本書を読んでからは、「資料の目的は何か?」「誰に何を判断してもらいたいのか?」をまず確認しました。
結果として、資料の内容は半分に圧縮され、伝えたいメッセージが一目で伝わるようになりました。

イシューが明確になると、行動がブレなくなるんです。

「何をすべきか?」ではなく、「何をすべきでないか?」が分かる感覚です。
これだけでも、業務のストレスがかなり減りました。


📗見どころ②上司の評価が変わった「仮説思考」の力

もうひとつ、「イシューからはじめよ」で学んで実践したのが「仮説思考」です。

つまり、最初から完璧な答えを探すのではなく“仮”でもいいから前提を置いて考えはじめるという思考法。
これまでの僕は、慎重派というか、「まずは調べてから…」と考えるタイプでした。
でも、仮説を立てて話すようにしてから、上司やチームの反応が明らかに変わったんです。

たとえば提案の場面で、「AとBのプランがあります。まだ細部は未確定ですが、現時点での仮説としてAが効果的だと考えています」と伝えると、
相手も“思考の土台”に乗ってくれる。議論が前に進みやすくなるんです。

これまでは「完璧な情報で説得しよう」として時間をかけすぎ、結果的にタイミングを逃していたことが多かったのですが、仮説でいいから話すことで、スピード感と柔軟性の両方を得られるようになりました。

「イシューからはじめよ」を読んで強く実感したのは、「仕事の成果は、努力の量ではなく“思考の質”で決まる」ということです。

もちろん、地道な作業も大切です。
でも、それが本当に必要なことかどうか、ちゃんと立ち止まって考えるだけで、仕事の密度がまるで変わってきます。
今では、何か新しい依頼を受けたときに、すぐに作業を始めるのではなく、こう問いかけるようにしています。

これは何の意思決定に関わるのか?
何を明らかにすればゴールに近づくのか?
いま解くべき“イシュー”は何か?

この思考を習慣にするだけで、仕事の無駄が減り、本当に価値のある成果に集中できるようになったと思います。


📙最後に 「働き方」より「考え方」が先だった

仕事に悩んでいたあの頃の僕は、「もっと頑張るしかない」と思っていました。
でも今ならはっきり言えます。
「頑張る方向を間違えていた」んです。

「イシューからはじめよ」は、いわば“考え方の地図”を与えてくれる本でした。
あれから数年経った今も、何かに迷ったときには本棚から引っ張り出して読み返しています。

もし今、あなたが

仕事量が多くて疲れている
頑張っているのに報われない
上司やクライアントとの認識がすれ違う

そんな悩みを抱えているなら、ぜひ一度、この本を読んでみてください。
「何から手をつけるべきか」が見えた瞬間、働き方が劇的に変わるはずです。

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